新年が明けてすでに半月が経過しましたが、今年の売上目標や利益目標はすでに決められましたでしょうか。
年間目標は高く設定するべきか?現実的で達成できそうな目標を設定するべきか?
どちらか選べと言われると、高く設定するべきという意見の方が多数派だと思います。
夢は大きい方が、目標は高い方が、モチベーションも上がりますし、高い目標を達成するために行動も変わりますから。
私も夢は大きい方ですが、短期的な年間目標は現実的なものにするべきだと考えていますし、実際にそうしています。
なぜなら、その方が成功確率が高いからです。
一流野球選手のモチベーション管理術
野球選手の大谷翔平を例に挙げると、彼が高校1年生のときに書いた目標達成シート(マンダラチャート)のど真ん中には、「8球団ドラ1」(全12球団中8球団にドラフト1位で指名される)という高い目標が掲げられています。(結果は6球団ドラ1)
(出展:日刊スポーツ MLB写真ニュース https://www.nikkansports.com/baseball/mlb/photonews/photonews_nsInc_202405140000823-1.html)
しかし、実際にやっていたことはというと、マンダラチャートの隅々に書かれている「体のケア」「体幹強化」「下肢の強化」「礼儀」「ゴミ拾い」などの案外地味な活動でした。
また、昨年50-50(50本塁打、50盗塁)を達成して話題になりましたが、そのときも彼はシーズン前に「ホームランを50本打つ」なんて目標は掲げていませんでしたよね。
50-50達成が近づいてきて「50-50は達成できそうか?」とインタビュー責めにあっていたときも、「50-50達成してみせます!」なんてことは決して言わず、「自分はやるべきことをやるだけ」といった回答が目立ちました。
同じ野球選手のイチローがメジャーリーグで史上最多安打を記録したときも、「もしかしたら打率4割に到達できるのでは?」と騒がれましたが、彼は打率を目標にすると打てなかったときにモチベーションが下がるので、安打数をコツコツと積み上げることに注目していたそうです。
将来の夢や目標を高く掲げて、そこから逆算して行動を変えるのはもちろん必要なことですが、彼らは意外にもモチベーションが下がらないように、目の前の短期目標は上げすぎない工夫をしていたということです。
一流経営者のモチベーション管理術
私たち経営者の世界でも、京セラの稲盛和夫が著書『経営12か条』の中で、次のような言葉を残しています。
「創造的な仕事をする上で大切なことは、楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行することです」
※一部要約しています。
夢やビジョンを思い描くときは、「それは難しい、それは困難だ」と悲観的に考えると発想が広がらないので、楽観的な気持ちで構想します。
一方で、具体的な計画を立てるときには、別人になったつもりで悲観的に厳しい現実を直視し、具体的で現実味のある計画に落とし込まないといけません。
そのうえで、「よし、これでやろう」と計画を実行するときには、難しいことは考えずに、「絶対やれるはずだ」と楽観的に考え、モチベーションを保ち続けることが重要だということです。
そのため、彼は中長期の経営計画を立てる必要はないと考え、京セラを創業して以来ずっと、1年間だけの経営計画しか立てなかったそうです。
3年先、5年先の未来は正確に予想できませんし、経費だけが計画通りに増えて、大きな損失を招くおそれもあるからです。
度重なる下方修正や計画放棄を見せられた社員は、「どうせ達成しなくてもよいのだろう」とモチベーションを下げてしまいます。
1年先のことならそう狂わずに読み切ることができますし、年間目標や月々の目標、日々の目標を着実に達成するために、今日1日を一生懸命働くことができます。
まとめ
私もこれらにならって、3年先のビジョンを考えるときは、実現可能性はあまり気にせず楽観的に考えていますし、3年計画もおおざっぱにしか考えていません。
一方で年間計画を立てるときは、実現可能性やリスクなどもできるだけ正確に予測して、緻密な数値計画をもとに、現実的で達成可能な目標を立てるようにしています。
そして、その目標を確実に達成できるように、毎月予算と実績の差を比較して、反省や改善を繰り返しています。
その結果、幸い売上2割増の目標は毎年達成できていますし、4年間で売上は2.5倍まで増えました。
高い目標を掲げるのは悪いことではありませんが、それは将来のビジョンでしょうか?達成すべき年間目標でしょうか?
今年はリアルに達成できそうな目標を設定してみて、それが確実に達成できるように、コツコツと実績を積み上げていってください。