先日のブログで、税務調査に入られる確率はそんなに高くないですけど、もし入られたら高い確率で追徴税額が取られてしまいますよって話をしました。
これはそもそも追徴税額が取れそうなところを狙って税務調査が入るからですが、一方で何の問題もない会社に税務調査が入ることももちろんたくさんあります。
例えば売上が上がっているのに利益が低調な会社や、多額の設備投資があって消費税の還付が大きい会社、設立して3~5年経過したばかりの会社などは調査対象になりやすいです。
税務調査が入ることになった場合、調査された経験がない方はとても大変なことのように感じて、「どう対応すればいいのだろう?」と不安に思われることが多いですが、基本的にはあまり身構えず普段通りの対応をしてもらったら大丈夫です。
ただし、税務調査の対応の仕方次第で結果が変わることももちろんありますので、次の5つのポイントを意識して対応してもらえたら、より安全に税務調査を終えることができます。
ここからは5つのポイントを1つずつ簡単に解説していきますので、いつか税務調査が入っても冷静に対応できるよう、今のうちに目を通しておいてください。
目次
税務調査対応で意識してほしい5つのポイント
ポイント1.税務調査の場所や日時は調整できる
税務調査が入るとき、顧問税理士がいればまず税理士に税務調査の連絡が入り、税務調査の希望日時が伝えられます。これを事前通知といい、顧問税理士がいなければ納税者本人に事前通知がされます。
調査なのだから指定された日に必ず受けないとと思ってしまう人も多いのですが、全然そんなことはなくて、会社や税理士の都合が良い日時に変えてもらっても全く問題ありません。
もっといえば、税務調査の場所も必ず会社でないといけないというわけでもなくて、自宅に来てもらうとか、顧問税理士のオフィスを使わせてもらう、あるいは貸会議室を借りてそこに来てもらうことも可能です。
無予告調査のように、事前通知なしでいきなり調査官が来て、今から調査をしたいと言われるケースであっても、絶対にその場ですぐに調査を受けなければならないわけではありません。
調査自体を断ることはできませんが、自分に予定があるからとか、顧問税理士が不在だからといった理由で、場所や日時を変更してもらうよう交渉することは可能です。
できるだけ余裕を持って対応できる場所や日時を選びましょう。
ポイント2.調査には協力的な姿勢を見せる
調査官を敵視して非協力的な姿勢で調査に挑む人も多いですが、調査官もプロなので、ちょっと抵抗したぐらいでは簡単にはひるみません。
それどころか抵抗すればするほどあの手この手で調査されるハメになるので、結果的に調査が長引いたり、新たな指摘事項を見つけられたりするおそれもあります。
それよりも友好的な態度を取って、調査に協力して、できるだけ調査を早く終わるよう努めた方が賢明でしょう。
ポイント3.質問には慎重に回答する
調査に協力しつつも、質問の回答は慎重に行いましょう。
怪しまれないように質問にすぐ答えようとしたり、問題点を指摘されたときに熱くなって強く反論しようとしたりしてしまいがちですが、そういった場面でボロが出てしまったり、ウソを言ってごまかしたりして立場が悪くなってしまうことも多いです。
質問に答えない、黙秘するのはよくありませんが、その場で即答する必要は全くありません。
わからないことはわからない、覚えていないことは覚えていないと正直に答え、あとで事実関係を調べて、顧問税理士がいる場合は相談してからの回答になっても遅くありません。
焦らず慎重に回答するように心がけましょう。
ポイント4.任意の要請に無理に応える必要はない
調査官には質問をしたり帳簿書類の提示を求めたりする権利である、質問検査権が法的に認められており、これに答えなかったり、偽りの答弁をしたりした場合には罰則を課すことが国税通則法で定められています。
だからといって、帳簿書類を税務署に持って帰って確認させてほしい、帳簿書類のExcelデータがほしいといった任意の要請に必ずしも答える必要はありません。
要請に応えた方が調査が早く終わりやすいメリットはありますが、一方で指摘事項が見つかる可能性が上がるデメリットもあります。
また、質疑応答の記録を残すために質問応答記録書という書面が作成され、これに署名押印を求められることもありますが、こちらも署名押印の義務があるわけではありませんので、自社の不利になりそうな内容であれば署名押印をしないという選択もできます。
どこからどこまで要請に応える義務があるのか、わからない人が多いと思いますので、その場合には調査官に聞いたら教えてもらえるはずです。
できるだけ調査に協力した方がいいですが、自社の不利になりそうな要請にまで無理に応えなくても大丈夫です。
ポイント5.明らかな申告漏れや誤りがある場合、事前に修正申告しておく
明らかな申告漏れや誤りを見つけた場合、事前に自ら修正申告しておいた方が無難です。
というのも、税務調査で誤りを指摘されてから修正申告した場合、新たに納めることになった税金の10%~15%相当額の過少申告加算税が罰則として課されてしまうからです。(その他に、納税が遅れた期間に応じた延滞税も課されます。)
この過少申告加算税は、税務調査の事前通知を受ける前に自主的に修正申告した場合はかかりません。事前通知を受けた後でも、税務調査で指摘を受ける前に修正申告すれば5%~10%相当額に下げることができます。
また、税務調査で仮装隠ぺいによる脱税行為だと見なされた場合には、過少申告加算税に代わって重加算税が課されますが、こちらは新たに納めることになった税金の35%と大きく、次の税務調査が来るまでの期間も短くなってしまいます。(長くなるので詳細は省きますが、重加算税が課された場合、延滞税の計算期間の上限がなくなるため、延滞税の金額も大きくなります)
しかし、自主的に修正申告しておけば重加算税が課されるリスクがなくなるため、明らかな申告漏れや誤りが発覚した場合には、調査を待たずに事前に修正申告しておきましょう。