前回の記事で、国税庁の【確定申告書等作成コーナー】から、所得税の確定申告書をe-Taxで電子申告するやり方を解説しました。
今回は引き続き、原則課税の消費税申告書をe-Taxで電子申告するやり方を解説していきます。
原則課税では、売上で受け取った消費税をそのまま納税するわけではなく、仕入れや経費の支払い時に支払った消費税は差し引いて、残った差額を税務署に納税します。(支払った消費税の方が多ければ還付されます。)
支払った消費税は支払先を通じて最終的に税務署に納税されるため、先に納税しているのと同じだからです。
この支払った消費税を納税額から差し引くことを仕入税額控除といいますが、原則課税の計算で特にややこしいのが、この仕入税額控除の計算です。
売上の方はほとんどが10%消費税を受け取る課税売上ですが、仕入れや経費の支払いの方は、10%消費税を支払う課税仕入だけでなく、消費税が課されない不課税仕入や非課税仕入の割合も多いです。
また、同じ課税仕入の中でも、通常の税率10%ではなく軽減税率8%が適用されるものもあり、さらに支払先が免税事業者などのインボイス未登録者であれば8割控除となるので、通常税率は10%の8割で8%に、軽減税率は8%の8割で6.4%に下がります。
つまり、同じ課税仕入の中でも税率が4種類(通常税率10%、通常税率免税8%、軽減税率8%、軽減税率免税6.4%)にわかれてしまうということです。
これらの分類が難しくて非常に面倒なんですけど、よく出てくるものは案外パターンが限られていますし、その他にも専門用語がたくさん出てきますが、1つ1つ解説して潰していけば、意外と簡単に申告書が作成できるはずです。
少なくとも一人でうんうん悩みながら作業するよりよっぽど時間の短縮になりますので、だまされたと思ってぜひ最後までお付き合いください。
【国税庁 確定申告書等作成コーナー 】
https://www.keisan.nta.go.jp/kyoutu/ky/sm/top#bsctrl
↓目次をクリックすれば各項目に移動できます
目次
1.保存データの引継ぎ
今回は所得税の確定申告を終えているものとして、その続きから始めていきますので、右側の「保存データを利用して作成」をクリックしてください。
所得税の確定申告がまだの方は、左側の「作成開始」から始めてもらっても構いませんが、申告準備(初期設定)が必要になります。
申告準備のやり方は、次の記事の1.申告準備(初期設定)を参照してください↓
次の画面では一番左の「作成再開」を選択してください。
保存データの読込画面が出てきますので、画面中央左の「ファイルを選択」ボタンから、所得税データ「r6syotoku_kessan.date」を選択し、右下の「保存データ読込」をクリックしてください。
読込が終わると科目選択の画面に移りますので、下から二番目の「消費税の確定申告書」の右側「作成開始」をクリックしてください。
引継ぎ内容の確認画面が出てきますが、引継ぎ金額に間違いがなければ右下の「次へ」をクリックしてください。
2.消費税申告書の作成
⑴原則課税・簡易課税の判定など
消費税申告書の作成にあたって、まずは原則課税と簡易課税の選択などの計算条件を入力していきます。
こちらが入力後の画面です。
一番上の「基準期間(令和4年1月1日から令和4年12月31日まで)の課税売上高」については、基準期間に課税事業者であった方は税抜の売上高、基準期間に免税事業者であった方は税込の売上高を入力してください。(いずれも補助金収入など、消費税を請求しない不課税売上などは除いてください。)
なぜ免税事業者は税込の売上高を入力することになるかというと、免税事業者である期間は消費税を納税していないので、売上高の中に消費税は含まれていないため、例え請求書に消費税を記載していたとしても、売上高はすべて商品・サービスを提供した対価と考えるからです。
この基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円を超えていたら、当期(令和6年1月1日から令和6年12月31日まで)は課税事業者となります。
また、基準期間の課税売上高が5,000万円以下で、事前に簡易課税選択届出書を提出していれば、簡易課税を選択することになります。
今回は原則課税でインボイス登録もしているものとしますので、その下の質問「適格請求書(インボイス)発行事業者ですか?」は「はい」、「簡易課税制度を選択していますか?」は「いいえ」と回答しています。
「経理方式を選択してください」は会計ソフトなどで、売上や経費を税込で仕訳されている方は「税込経理」、仮払消費税や仮受消費税などの科目を使って、税抜で仕訳されている方は「税抜経理」を選択してください。今回は税込経理の方を選択して進めます。
なお、一番下から二行目の「税額の計算方法として積上げ計算を選択する方」の部分は、売上のインボイス(請求書や領収書)に記載されている消費税額を1枚1枚集計して、売上で預かった消費税の合計額を求める積上げ計算を選択する方のみ入力が必要です。
小売業のように少額の商品を大量に販売する場合は、消費税の端数処理の関係で積上げ計算を選択した方が有利な場合もありますが、集計する手間がかかるので今回は積上げ計算は行いません。
一番下の「特別な売上基準の適用をする方」の部分も、工事進行基準や現金主義会計などを使う場合のみ入力しますが、今回は説明を割愛します。
すべて入力できたら、右下の「次へ」をクリックしてください。
⑵所得区分の選択
次に所得区分の選択画面に移りますが、所得税のデータから、一番上の「事業所得(営業等)がある。」にすでにチェックが入っています。
また、令和6年に業務用の車両を購入していたため、そのときに支払った消費税も仕入税額控除が受けられるので、一番下の「業務用固定資産等の購入がある。」にも自動的にチェックが入っています。
新車購入時に古い車を売却していた場合など、業務用固定資産を売却した譲渡所得がある方は、売却時に消費税を受け取っていることになるため、一番下から二行目の「業務用固定資産等の譲渡所得がある。」にもチェックが入っていると思いますが、今回は譲渡所得はないものとして進めます。
選択できたら右下の「次へ」をクリックしてください。
⑶売上金額・仕入金額等の入力
①売上の課税区分の入力
次は売上金額・仕入金額等の入力をしていきます。まず上の「事業所得(営業等)」をクリックしてください。
ここで売上(収入)金額の課税・免税・非課税・不課税などの課税区分の内訳を入力していきます。
一番上の「収入金額」には、引継ぎ内容の確認画面で出てきた決算書の売上金額と同じ3,005万円を入力します。
その下の「免税、非課税、非課税資産の輸出等又は不課税取引がある方」の部分をクリックすると、上記の収入金額のうち、免税・非課税・不課税取引などの、消費税を請求しないような収入がいくらあったのか、内訳を入力する画面が出てきます。
「免税取引」とは、輸出免税などの消費税が免除される取引のことです。国外で消費されるので、日本の消費税は免除されるため、輸出売上がある方はこちらに金額を入力してください。
「非課税取引」とは、居住用住宅の賃貸収入など、本来は消費税の課税対象なのですが、家賃に消費税をかけられたら生活負担が重くなるなどの社会政策上の配慮から非課税とされた取引のことです。
「非課税資産の輸出等取引」とは、身体障害者用物品や教科書などの非課税資産を輸出する取引のことですが、めったに使いません。
「不課税取引」とは、補助金や助成金収入など、商品・サービスの提供や消費がされていない、そもそも消費税の課税対象にならない取引のことです。
それぞれの取引の違い、課税区分の分類について、詳細は次の記事をご確認ください↓
今回は非課税取引分30万円、不課税取引分5万円と入力すると、残額2,970万円(3,005万円-35万円)が「課税取引金額」の部分に自動計算されます。
その下の「軽減税率適用分の金額の入力」の部分は、軽減税率8%の対象となる飲食料品や新聞などの売上がある方だけが入力する部分です。
一番下の「返還等対価の入力」の部分は、返品・値引・割引・割戻しなどがあったときに、売上を直接減額せずに、売上値引などの別科目で経理している場合は入力が必要になります。
今回はこの部分は入力しませんが、ここをクリックすると金額の入力画面が出てきますので、売上値引などの金額を入力すれば、値引きなどに含まれる消費税分は納税額を減額してもらえます。(値引きしたということは消費税も受け取れていないので)
すべて入力できたら右下の「次へ」をクリックしてください。
②仕入や経費の課税区分の入力
所得税の決算書データから引き継がれた仕入や経費の金額が一覧で出てきますので、これをもとに仕入や経費の課税区分(不課税仕入、非課税仕入、課税仕入4種類)を分類していきます。
「A決算額」は決算書と同じ金額が記載されていますが、そのうち課税仕入にならない不課税仕入や非課税仕入になる部分があれば、「Bうち課税取引にならないもの」に入力すれば、AからBを差し引いた課税仕入の金額が「C課税取引金額(AーB)」の部分に自動計算されます。
したがって、100%不課税仕入か非課税仕入のどちらかになる損害保険料・減価償却費・利子割引料の3つの科目のBの金額は、自動的にAと同じ金額が表示されるようになっています。
また、Cの課税仕入のうち、軽減税率8%が適用される飲食料品や新聞などの課税仕入があれば、「D+Eうち税率6.24%(軽減税率)適用分)に入力すれば、これをCから差し引いた通常の税率10%が適用される課税仕入が「F+Gうち税率7.8%適用分」の部分に自動計算されます。
このあたりの表記が非常にわかりにくいのですが、軽減税率8%の内訳は消費税(国税)6.24%と地方消費税(地方税)1.76%にわかれており、通常税率10%も消費税(国税)7.8%と地方消費税(地方税)2.2%にわかれています。
そして、この一覧表で計算しているのは消費税(国税)の方なので、軽減税率は8%ではなく6.24%、通常税率は10%ではなく7.8%と表記されています。
さらに、インボイスを発行できない免税事業者などに対する仕入や経費の支払いがあれば、冒頭で説明したとおり8割控除(軽減税率免税6.4%、通常税率免税8%)に下がるので、軽減税率免税6.4%の対象となるものは「Eうち免税事業者等取引分」、通常税率免税8%の対象となるものは「Gうち免税事業者等取引分」に入力する必要があります。
※ただし、インボイスの保存が不要になる少額特例が使える税込1万円未満の少額取引や、そもそもインボイスの保存が不要である6種類の取引(税込3万円未満の公共交通機関の利用や自販機での購入)などは、EやGには入力しないてください。
少額特例やインボイスの保存が不要である6種類の取引についての詳細は次の記事をご確認ください↓
こちらが入力後の画面です。
どのように入力していったのかを上から順番に説明していきますが、誰でも似たような入力が必要になるものばかりですので、自分ごとだと思って確認してみてください。
(3)仕入金額の入力
仕入先に免税事業者が1社あったので、そこからの年間の仕入金額200,000円を、G(通常税率の免税事業者取引分)に入力しました。
(8)租税公課の入力
不課税仕入である消費税・個人事業税・自動車税、非課税仕入である郵便局やコンビニでの印紙代の購入など、すべて消費税が課されない取引だったので、1,570,000円全額をB(うち課税取引にならないもの)に入力しました。
(14)接待交際費の入力
軽減税率8%の対象になる贈答品(飲食料品)の購入が50,000円あったので、D+E(軽減税率適用分)に入力しました。
また、接待で使った飲食店のいくつかが免税事業者で、1万円未満の少額特例も使えない支払が年間で100,000円あったので、G(通常税率の免税事業者取引分)に入力しました。
(19)福利厚生費の入力
非課税仕入である社会保険料や労働保険料などの法定福利費が220,000円含まれていたので、B(うち課税取引にならないもの)に入力しました。
(20)給料賃金の入力
給与は不課税仕入なので、5,500,000円全額をB(うち課税取引にならないもの)に入力しました。
(23)地代家賃の入力
非課税仕入である自宅家賃※の仕事部屋分100,000円が含まれていたので、B(うち課税取引にならないもの)に入力しました。
※居住用住宅の家賃は非課税仕入ですが、事業用のテナントの家賃や駐車場代などは課税仕入です。
(25)支払手数料の入力
非課税仕入であるクレジットカードの手数料や役所で支払った事務手数料が合計50,000円含まれていたので、B(うち課税取引にならないもの)に入力しました。
(27)研修費の入力
不課税仕入である年会費※30,000円が含まれていたので、B(うち課税取引にならないもの)に入力しました。
※同じ会費でも、会費の支払いによって何らかのサービスが受けられるなどの明確な対価関係があれば課税仕入、会員として会費を支払っているだけで特に対価性がないものは不課税仕入となります。
今回入力した項目は以上です。
このあたりを押さえておけば概ね正しく入力できますが、もちろんすべてのパターンを網羅しているわけではありませんので、課税区分の分類の詳細は次の記事をご確認ください↓
③その他の入力
画面を下にスクロールすると、消費税の計算に必要なその他の入力項目が出てきます。
該当する部分があれば「はい」と回答して金額を入力してください。
発生した貸出金の金額の入力
令和6年中に売掛金などの債権が回収不能になり、貸倒損失が発生した場合、売上に含まれる消費税も受け取れていないことになるので、ここに金額を入力すれば貸し倒れた分の消費税の納税額を減額してもらえます。
売掛金が回収できないからといって適当に貸倒損失を計上していいものではないのですが、説明すると長くなるので今回は「いいえ」で進めます。
回収した貸倒金の入力
逆に貸し倒れた売掛金が後日奇跡的に回収できた場合は、ここに金額を入力すれば、回収できた売上に含まれる消費税を納税することになりますが、こちらもレアケースなので今回は「いいえ」で進めます。
保税地域からの引き取り貨物に係る金額の入力
海外から商品を輸入した場合、商品を引き取るタイミングで消費税を支払う必要があるので、その納税済みの消費税の金額をここに入力すれば、消費税の納税額を減額してもらえます。
今回は商品や消耗品の輸入はないので「いいえ」で進めます。
課税仕入れに係る対価の返還等の入力
仕入の返品・値引・割引・割戻しなどがあったときに、仕入を直接減額せずに、仕入値引などの別科目で経理している場合は入力が必要になります。
今回は仕入を直接減額する方法をとっているので「いいえ」で進めます。
令和6年1月1日から令和6年12月31日の間に課税事業者となった方の棚卸高の調整の入力
令和6年に課税事業者となった場合、期首の在庫は令和5年以前の免税事業者であった頃に購入したものなので、購入時に支払った消費税分の仕入税額控除は受けられていません。
それにもかかわらず、令和6年に期首在庫を販売すると、販売時に受け取った消費税の納税は必要になってしまいます。
購入時に控除が受けられていないのに、販売時だけ納税させられると損をしてしまうので、このズレを調整するために、ここで期首在庫の金額を入力すれば、期首在庫に含まれる消費税分は仕入税額控除が受けられるような仕組みになっています。
今回は在庫はないので「いいえ」で進めます。
令和7年分に免税事業者となる方の棚卸高の調整の入力
上記の棚卸高の調整とは逆のパターンで、令和6年は課税事業者で令和7年に免税事業者となる場合、令和6年の期末の在庫は課税事業者であるときに購入したものなので、購入時に仕入税額控除が受けられています。
それにもかかわらず、免税事業者となった令和7年以降に販売すると、販売時に受け取った消費税の納税はしなくてよいことになってしまいます。
購入時に控除が受けられているのに、販売時は納税しなくてよいと不当に得をしてしまうので、このズレを調整するために、ここで期末在庫の金額を入力すれば、期末在庫に含まれる消費税分は納税額が増えるような仕組みになっています。
今回は在庫はないので「いいえ」で進めます。
すべて入力できたら右下の「次へ」をクリックしてください。
すると「D+E軽減税率適用分」の部分は空白ではなく0を入力するようエラー表示が出てきましたので、すべて0を入力して再度「次へ」をクリックしましょう。
④業務用固定資産の購入の入力
これで決算書の売上や経費の課税区分の入力が完了しましたが、今回は先ほどの一覧に出てこない業務用の車両の購入もありますので、下の「業務用固定資産等の購入」をクリックしてください。
まず「所得区分」は「事業所得(営業等)」を選択し、「取得価額等」は今回取得した業務用の車両の取得価額6,000,000円を入力します。
ただし、こちらの業務用の車両は事業供用割合を90%としているため、消費税の仕入税額控除が受けられるのも90%分のみです。
プライベートで使っている10%分は、所得税の計算時に減価償却費を計上しないのと同じで、消費税の仕入税額控除も受けられません。
したがって「うち課税取引にならないもの」に600,000円(6,000,000円の10%分)と入力すれば、「課税取引金額」の部分には90%分の5,400,000円が自動計算されます。
入力できたら右下の「次へ進む」をクリックしてください。
これで業務用固定資産等の購入も「✅入力あり」となりましたので、右下の「次へ」をクリックしましょう。
⑷中間納付税額等の入力
次は中間納付税額等の入力画面に移ります。
前年の消費税(地方消費税は除く)の年税額が48万円(地方消費税も合わせると60万円強)を超えている方は、消費税の中間納付(予定納税)をしているはずなので、ここで金額を入力します。
※「中間申告を行っていない方は、入力する必要はありません」と太字で書いてありますが、中間納付されている方は自動的に中間申告をしていたものとみなされているため、必ず入力してください。
消費税(国税)と地方消費税(地方税)を合わせた納税額ではなく、中間納付税額(国税)と中間納付譲渡割額(地方税)に分けて入力しないといけないのですが、私の場合は自動で金額が入力されていました。
所得税のデータ作成時に入力したものが反映されているのだと思いますが、もし金額が入力されていなければ、中間納付したときに使った納付書を見てもらえたら、消費税と地方消費税の内訳が記載されています。
入力出来たら右下の「次へ」をクリックしてください。
⑸計算結果の確認
ここまでで消費税の納税額の計算は完了したので、最終的な納税額566,200円と、計算結果の確認画面が表示されます。
これが間違っていないかどうかの確認作業は、消費税申告書のPDFをダウンロードしてから行った方がわかりやすいので、右下の「次へ」をクリックしてください。
⑹納付方法等の入力
まず消費税の納付方法の選択をしますが、納付方法のおすすめは振替納税で、手続きしておけば毎年消費税が口座から自動引落されます。
消費税の納付期限は通常令和7年3月31日㈪までですが、振替納税の場合のみ令和7年4月30日㈬に引落されますので、納付時期が遅くなるのもメリットです。
もちろん電子納税やクレジットカード納付、税務署から届いた納付書に金額を手書きして税務署や金融機関で窓口納付するなど、好きな納付方法を選んでもらって構いません。
今回は振替納税を「既に利用している」ものとしますが、今回から利用したい方は、「初めて利用する」の方を選択すればオンライン提出などの案内が出てきます。
また、その下の予定納税がある場合などの「通知方法の選択」は、今回は「書面交付」とします。
画面を下にスクロールすると「納税地・氏名等」の情報がずらずらと表示されていますが、ここで追加入力が必要なのは「申告書等を提出する年月日」と「屋号・雅号(フリガナ)」ぐらいです。
入力できたら右下の「次へ」をクリックしてください。
⑺送信前の申告内容確認
すると送信前の申告内容確認の画面が出てきますので、画面中央下の「申告書等を表示する」をクリックすれば、「r6syouhi」という名前のPDFファイルがダウンロードできます。
申告書のチェック方法は次のブロックで解説しますが、そこで修正点が見つかった場合は、画面右下の「戻る」で修正箇所まで戻って修正してください。
なお、申告書のチェックをしている間にこちらの入力画面を閉じてしまうと、今まで入力した内容がすべてなくなってしまうので、一番右下の「ここまでの入力内容を保存」から、入力データもダウンロードしておいた方が無難です。
3.消費税申告書PDFのチェック
今回の消費税申告書PDFは全部で8ページ分(申告書第一表・第二表、付表1-3・2-3、表イ・ロ・ハ)出てきましたが、すべて正確に解説すると長くなりすぎて誰も理解できなくなるので、申告書第一表と表イ・ロ・ハから納税額の計算が概ね正しいかどうか、簡単な計算方法に変えてチェックしていくことにします。
⑴申告書第一表
こちらが消費税申告書の第一表です。
まず上方の基本情報(提出先税務署、納税地、屋号、個人番号、氏名)などがきちんと表示されているかを確認してください。
そして中央の税額の計算の部分が、計算過程が記載されている最も重要な部分なのですが、上段の消費税と下段の地方消費税で別々に計算されているため、非常に理解しづらい表記になっています。
したがってここでは、最終的な納税額㉖が566,200円であることと、予定納税をした中間納付税額⑩546,900円と中間納付譲渡割額㉑154,200円(合計701,100円)が確実に記載されているかどうかだけを確認してください。計算過程のチェックは表イ・ロ・ハの方で行うこととします。
右上の「付記事項」、その下の「参考事項」も、特別な計算方法の適用の有無や基準期間の課税売上高2,000万円などが記載されているだけですので、細かいチェックは不要です。
その下の太枠「税額控除に係る経過措置の適用(2割特例)」の部分も、基準期間の売上高が1,000万円以下であるなど本来は免税事業者である方が、インボイス登録して消費税を納めないといけない場合に使えるものですので、今回は説明を割愛します。
⑵表イ:課税取引金額計算表
こちらの表イの課税取引計算表の方は、今回せっせと入力した事業所得の売上・仕入・経費の課税区分が記載されているので、だいぶ理解しやすいと思います。
まず一番上の①売上(収入)金額の部分を見ると、今回の売上の決算額Aは3,005万円でしたが、課税取引にならない不課税売上と非課税売上Bが35万円あったので、課税売上Fは2,970万円(A-B)となっています。
次に仕入や経費の方は、一番下の合計の部分だけ見ていくと、決算額Aから課税取引にならない不課税仕入と非課税仕入Bを差し引いた課税仕入Cは合計10,428,850円となっています。
また、課税仕入の内訳は、軽減税率8%対象の課税仕入Dが50,000円、通常税率10%対象の課税仕入Fは10,078,850円、通常税率10%対象ですが、免税事業者からの課税仕入なので8%控除になるGが300,000円となっています。
これらの情報をまとめると次のとおりになります。
課税売上…2,970万円
課税仕入(通常税率10%)…10,078,850円
課税仕入(通常税率免税8%)…300,000円
課税仕入(軽減税率8%)…50,000円
⑶表ロ:課税売上高計算表
次に表ロの課税売上高計算表は、事業所得以外の課税売上高も含めて集計する表ですが、今回は事業所得以外の課税売上高はなく、軽減税率8%対象になる課税売上高もありません。
したがって、一番下の⑫の左側に通常税率10%対象の課税売上2,970万円が記載されており、その右側に×100/110をした税抜の課税売上高2,700万円が記載されているだけです。
業務用固定資産の売却の入力をした場合は、「⑷業務用資産の譲渡所得に係る課税売上高」に金額が入っており、その分課税売上高も上がっているはずです。
⑷表ハ:課税仕入高計算表
次に表ハの課税仕入高計算表は、事業所得以外の課税仕入高も含めて集計する表です。
「⑴事業所得に係る課税仕入高」の部分に、表イで集計した課税仕入高の内訳が記載されています。
今回は業務用の車両の取得があったため、「⑷業務用資産の取得に係る課税仕入高」の⑨課税仕入高の部分に540万円と記載されています。
これらを合計した「⑸課税仕入高の合計額」の部分に最終的な課税仕入の内訳が記載されています。
⑹の仕入税額控除の計算は国税のみで計算していてややこしいのでいったん無視して、ここまで集計した情報を改めてまとめると、課税仕入(通常税率10%)が540万円増えて次のとおりとなります。
課税売上…2,970万円(うち消費税10/110=270万円)
課税仕入(通常税率10%)…15,478,850円(うち消費税10/110=1,407,168円)
課税仕入(通常免税8%)…300,000円(うち消費税8/110=21,818円)
課税仕入(軽減税率8%)…50,000円(うち消費税8/108=3,703円)
⑸消費税の納税額の計算
先ほど集計した情報のカッコ書きのうち消費税の部分に着目してもらうと、課税売上2,970万円のうち、受け取った消費税10%分は270万円(2,970万円×10/110)となっています。
課税仕入で支払った消費税も同じように計算していくと、合計1,432,689円(1,407,168円+21,818円+3,703円)になるので、その差額である1,267,311円(2,700,000円-1,432,689円)が税務署に納めないといけない消費税の年税額になります。
しかし、申告書第一表で確認したとおり、すでに701,100円予定納税(中間納付税額⑩546,900円+中間納付譲渡割額㉑154,200円)しているため、今回の申告時に納税する金額はあと566,211円(年税額1,267,311円-予定納税額701,100円)となります。
するとあら不思議、申告書第一表の一番下㉖に記載されていた最終的な納税額566,200円と、今回独自で計算した納税額566,211円は概ね一致しました。
実際の申告書では消費税と地方消費税にわけてもっと複雑な計算過程を経て計算されるため、端数処理などの関係で独自で計算した結果と数百円ズレることがありますが、概ね一致していれば何の問題もありません。
問題ないことが確認できたら、送信前の申告内容確認の画面まで戻り、「次へ」をクリックしてください。
4.消費税申告書のe-Tax送信
送信前の送信準備画面になりますが、こちらの質問回答はほとんどの人が画像のとおり「入力しない」「添付しない」「利用しない」の回答になるはずです。
マイナンバーカード認証方法は今回は「スマートフォンを使用」を選択しますが、ICカードリーダーをお持ちの方はもちろんそちらを選択してもらって構いません。
選択できたら「次へ」をクリックしましょう。
スマートフォンでマイナポータルアプリを起動し、最初に出てくる画面の下の「読取り」ボタンから、パソコン画面に表示されているQRコードを読み取ってください。
「利用者証明用電子証明書パスワード(4桁の数字)」を入力してください。
画面のとおりマイナンバーカードとスマートフォンの上部を重ね、「読み取り開始」をタップしてください。
スマートフォンに「ログインに成功しました」というポップアップ画面が出てきた直後に、パソコンの画面がe-Tax送信の画面に切り替わりますので、右下の「送信する」をクリックしてください。
最後に確認のポップアップ画面が出てきますので、「送信を実行する」をクリックすれば、無事にe-Taxによる電子送信が完了します。
今回はデモンストレーションなので実際に送信はできないため、解説できるのはここまでです。
5.まとめ
これでようやく消費税の申告書もe-Taxで電子申告できました。
難しい専門用語がたくさん出てきましたし、課税区分や4種類の税率の選択もややこしく、どんどん複雑怪奇になっていく消費税申告ですが…。
こうやって一つ一つ解説を見ながら進めていけば、意外と簡単に申告書が作成できたのではないでしょうか?
今まで自力で申告していた人は、「間違っていたらどうしよう…。」と不安に感じながら申告していたと思いますが、今年はきっとそんな不安は払拭されているはずです。
ただし、難しくて時間がかかることに変わりはないので、資金繰りに余裕が出てきたら、税理士さんに申告を任せることも検討してください。
今年初めて原則課税の申告方法も解説したので、所得税の確定申告の解説と合わせてめちゃくちゃ時間がかかりましたが、その分たくさんの人にこの記事を使って、申告にかかる時間を短縮してもらえたら嬉しいです。