貸借対照表の見るべきポイントは?
質問者
決算のたびに貸借対照表を見ていますが、
見てもよくわからないのでスルーしています。

貸借対照表ってどこを見ればよいのでしょうか?
見るべきポイントはあるのでしょうか?
税理士
もちろん、見るべきポイントはたくさんあります!

その中でも大切なポイントを6つご紹介します!
貸借対照表は、単に会社の資産や負債が
記載されているものではありません。
これを見れば、会社の支払能力や、
会社の安全性までわかる、
とても大切な書類です。
特に見てほしいポイントは、
下記の6つの項目の数字です。
①流動資産
②固定資産
③流動負債
④固定負債
⑤純資産
⑥自己資本比率
それぞれの数字について、
㈱飲食店の貸借対照表を参考に、
一つ一つ解説していきます。
※㈱飲食店とは、
中小企業実態基本調査の結果から、
飲食店の業績の平均値を取って
作成した架空の会社です。

貸借対照表

① 流動資産

  • ㈱飲食店の流動資産⇒22,106,000円
流動資産とは、
1年以内に現⾦化することができる資産
のことです。
現⾦預⾦や売掛⾦をはじめ、
売れば現金化できる株式などが
含まれます。
すぐに現金化して動かしやすいので、
流動性が高いという表現が使われます。
ただし、棚卸資産(在庫)のように、
すぐに売れるとは限らないものも
含まれているので要注意です。
当然、この数字が高いほど、
会社の支払能力が高いといえます。
こちらの会社の場合、
2,200万円ぐらいのお金であれば、
すぐに支払えるということです。
(やろうと思えばですが…)

② 固定資産

  • ㈱飲食店の固定資産⇒59,394,000円
固定資産とは、
1年以上かけて保有している資産
のことです。
⼟地、建物、などの形がある
『有形固定資産』、
ソフトウェアなどの形がない
『無形固定資産』、
配当目的で持っている株式などの
『投資その他の資産』
にわけられます。
固定資産も多ければ安心ですが、
流動資産と違ってすぐに現金化
することはできません。
したがって記載されている帳簿価額
ほどの金額では売れないリスクや、
維持費・管理費がかかるリスク
あることを忘れないでください。
こちらの会社の場合、
6,000万円近い固定資産を持って
いますが、実際売ったらいくらに
なるのでしょうか?
(半値以下でしか売れないような
こともザラにありますよね…)

③ 流動負債

  • ㈱飲食店の流動負債⇒28,235,000円
流動負債とは、
1年以内に⽀払う負債(借⾦)
のことです。
買掛⾦、短期借⼊⾦、
未払⾦などが含まれます。
この数字が高いほど、
すぐに支払わなければならない
負債が多いということです。
こちらの例のように、
流動負債28,235,000円が、
流動資産22,106,000円より
多い場合、1年以内に負債の支払が
滞ってしまうおそれがあります。
利益を出して流動資産を増やすことが
できればよいのですが…
それが無理なら固定資産を売却したり、
負債の支払を待ってもらったり
しなければなりません。
このように、流動資産と流動負債を
比べると、資金繰りに余裕があるのか
どうかがわかります。

④ 固定負債

  • ㈱飲食店の固定負債⇒38,249,000円
固定負債とは、
1年以上あとに⽀払う負債
のことです。
⻑期借⼊⾦、⻑期未払⾦などが
含まれます。
流動負債と違ってすぐに
返済する必要はありませんが、
毎月の返済ができるだけの
利益は出し続ける必要があります。
こちらの例のように、
固定負債が3,800万円あると、
返済期間が30年間あったとしても、
月に10万円以上の返済を
続けなければなりません。

⑤ 純資産

  • ㈱飲食店の純資産⇒15,471,000円
純資産とは、
資産から負債を引いた差額
のことです。

株主が出資した『資本⾦』、

会社設⽴からこれまでの利益の合計

である『繰越利益剰余⾦』が中⼼です。
要するに、純資産は、
自分たちで貯めてきたお金なので、
『自己資本』とも呼ばれます。
一方、流動負債・固定負債などの負債は、
人から借りたお金なので、
『他人資本』とも呼ばれます。
もちろん、自己資本(純資産)が多く、
他人資本(負債)が少ないほど、
安全性は高くなります。

⑥自己資本比率

  • ㈱飲食店の自己資本比率⇒18.87%
自己資本比率とは、
総資産のうち、何%を自己資本で調達したか
を表す数字です。
これを見れば、
経営の安全性がわかります。
自己資本比率は貸借対照表に記載されて
いないことが多いので、自分で計算する
必要がありますが、計算自体は簡単です。
まず、計算式は下記のとおりです。
☆⾃⼰資本⽐率=(⾃⼰資本÷総資産)×100
こちらの例の場合、
総資産81,955,000円は、
自己資本(純資産)15,471,000円と、
他人資本(負債)66,484,000円によって
資金調達して、取得してきたわけです。
このときの自己資本比率を実際に計算
してみると、下記のようになります。
☆15,471,000÷81,955,000×100=18.87%
この例のように、自己資本比率が2割弱しか
ないということは、裏を返せば8割強は、
他人資本で資金調達してきたわけです。
他人資本は返済しなければならいので、
返済ができるぐらいの利益を出し続けない
と、倒産してしまうおそれがあります。
一方で、自己資本比率が高い会社は、
資金繰りが悪化しにくい、
安全性が高い会社といえいます。

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