最適なリーダーシップスタイルはどれ?4つの発達レベルに応じた4つのリーダーシップスタイル
質問者
状況によって最適なリーダーシップスタイルは変わるという話をされていましたが、自分の得意なスタイルを貫いてはいけないのですか?
税理士
はい、部下の4段階の発達レベルに応じて、最適なリーダーシップのスタイルも4つに分かれますので、状況によって使い分けましょう。4つのスタイルの解説を読んでもらえれば、使い分けないといけない理由がよくわかると思います。

先日のブログで、新1分間リーダーシップ(ケン・ブランチャード+パトリシア・ジガーミ+ドリア・ジガーミ著、ダイヤモンド社)という有名な書籍で紹介されている、状況対応型リーダーシップついて解説しました。

※詳しくはこちら↓

状況対応型リーダーシップについて簡単におさらいすると、リーダーの基本行動には指示型行動(決定、指導、観察など)と支援型行動(傾聴、介入、促進など)の2種類があります。

そして、部下の発達レベルや状況によって、どちらの行動を増やすのか、リーダーシップスタイルを使い分けるのが状況対応型リーダーシップでした。

例えば、右も左もわからない新入社員には指示型行動を増やさないと動けませんが、ベテラン社員にはあれこれ指示せず仕事を任せて、ところどころサポートする支援型行動を増やすといった具合です。

ここまでが前回のおさらいですが、こんな大ざっぱな説明を聞いただけではあまり現場では使えません。

そこで新1分間リーダーシップでは、部下の発達レベルを4段階に分けて、4種類のリーダーシップスタイルを使い分ける方法が紹介されています。

ここまで理解して初めて現場で使える実用的なノウハウになりますので、4つの発達レベルと4つのリーダーシップスタイルについてそれぞれ簡潔に解説していきます。

部下の4つの発達レベル

D1:意欲満々な初心者

技能:低

意欲:高

誰もが仕事のやり始めはやる気に満ちあふれているものです。仕事の技能は低いですが意欲は高く、上司の指示に従って仕事をどんどん吸収していってくれます。

D2:期待が外れた学習者

技能:低~中

意欲:低

学習が進んで技能が身についてくると、逆に意欲は下がっていきます。仕事の難しさ、己の無力さなども自覚できるようになってくるからです。期待していたようには進まないため、この発達レベルは期待が外れた学習者と呼ばれています。

D3:慎重になりがちな貢献者

技能:中~高

意欲:不安定

めげずに学習を続けると、ある程度自分で仕事をこなせる技能が身につき、仕事に対する意欲も回復していきます。しかし、まだ1人立ちできるほどの技能はないので、たまに失敗してへこんだり、自分のやり方でいいのか不安になったり、精神的に不安定な状態になります。

D4:自立した達成者

技能:高

意欲:高

あらゆるハードルを乗り越えて高い技能を身につけ、自信がついてくると、前向きに仕事に取り組んでくれるようになります。技能も意欲も高い状態なので、安心して仕事を任せられます。

4つのリーダーシップスタイル

S1:指示型

指示型行動:多

支援型行動:少

D1:意欲満々な初心者に対しては、S1:指示型のリーダーシップスタイルを使います。

最初は技能が低いので手取り足取り指示を出してあげれば素直に受け入れてくれます。

まだ自分のやり方や意見をあまり持っていないので、本人の意見を聞いてあげるような支援型行動をする必要性はあまりなく、意欲も高いのでモチベーションを気遣う必要もあまりありません。

S2:コーチ型

指示型行動:多

支援型行動:多

D2:期待が外れた学習者に対しては、S2:コーチ型のリーダーシップスタイルが効果的です。

まだまだ技能は高くないので引き続き指示を出したり、仕事の様子を観察したりする指示型行動は続ける必要があります。

一方で、少しずつ技能が身について、自分のやり方や意見を持つようになってくるので、それらに少し耳を傾けてあげると、今後の成長につながります。

意欲が下がっているので、気持ちの面の話も聞いてあげましょう。コーチとしてそばにいて、技術面だけでなく精神面もフォローしていく必要があります。

S3:支援型

指示型行動:少

支援型行動:多

D3:慎重になりがちな貢献者に対しては、S3:支援型のリーダーシップスタイルが有効です。

ある程度自分で仕事ができるようになってきているので、指示型行動は減らして、本人主体で仕事に取り組んでもらいます。

しかし、まだまだ技術面でも精神面でも不安定なので、まだほったらかしにしてはいけません。

つまづいたときはすぐフォローしてあげたり、こちらからも意見を聞いてあげたり、うまくいかないときは励ましたり、支援型行動はしっかり続けていく必要があります。

ここで手を抜いてしまうと、せっかく成長してきたのに、自信をなくして脱落してしまうこともあるので要注意です。

S4:委任型

指示型行動:少

支援型行動:少

D4:自立した達成者については、S4:委任型のリーダーシップスタイルで十分です。

技能も意欲も高い状態なので、仕事を任せておけば勝手に取り組んでくれます。

逆に構いすぎると、わずらわしく思われたり、「信用されていないのかな?」と不安に思われたり、腰を折ってしまうおそれがあります。

本人が活躍できるように環境を整える、活躍を称賛する、ときどき軌道修正するなどの工夫はもちろん必要ですが、基本的には仕事や権限を与えてあとはお任せしましょう。

ここまでの説明を図にまとめると次のとおりです↓

まとめ

4つのリーダーシップスタイルの説明は以上です。ここまで読んで頂ければ、4つのスタイルを使い分けないといけない理由がよくわかったと思います。

私自身これを知る前は、全員に対して指示型のリーダーシップスタイルを使っているような状態でしたが、全然ダメだったことがわかりました。笑

しっかり読んでもらえれば、誰に対してどのリーダーシップスタイルを使えばよいのか見当がつくと思いますので、ぜひ参考にしてみてください。


P.S.新1分間リーダーシップは1日で読めるぐらいの読みやすい本なのに、得るものが多いのでおすすめです。

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