差別化で絶対外してはいけないポイントとは?
質問者
差別化を考えるときに、気をつけるポイントってありますか?
税理士
特に重要なポイントは、「トレードオフの選択をする」ことです。

「トレードオフ」なんて言葉
聞いたことないですよね?

交換することをトレードするっていう
言い方をしますが、トレードオフも
「交換、取引」という意味です。

そこから転じて。「一方を立てると
他方が立たないこと、矛盾」などの
意味もあります。

つまり、「トレードオフの選択をする」
というのは、「どちらか一方を選べば、
もう一方は選べないような選択をする」
ということです。

例えば、

・コストがかかってもよいからお客さん
 の相談に応じる
・コストカットのためにお客さんの相談
 には応じない

この2つは、
どちらかを選べばどちらかは選べない、
まさにトレードオフの選択です。


先日紹介した1,200円カットのQBハウス
を例に挙げると、スタイリストの指名は
できず、カット時間も12分と相談には
限界があるので、どちらかと言えば
後者の方です。

一般的な美容院では、カット代金は
3,000円~4,000円かかりますが、
スタイリストは指名できて、
カット時間も長いので、
どちらかと言えば前者ですね。


これを、トレードオフの選択を
しないとどうなるか?

例えば、
QBハウスがスタイリストの指名もできる
ようにして、その場合のカット代金を
3,000円にしたとしましょう。

一見お客さんの幅が増えて、
客単価も上がって良い気もしますが、
そのためにQBハウスは普段していない
予約受け付けをしないといけないので、
ネット予約システムや電話による予約
対応が必要になります。

また、1,200円カットに慣れている
スタイリストが全員、2倍以上のお金を
払ってわざわざ指名してくるお客さんの
要望に応えられるとも限りません。

担当スタイリストを限定するか、
専用のスタイリストを新しく雇う
ことになるでしょう。

そこまでやっても、QBハウスには
パーマやカラーの機材も無ければ、
シャンプー台すらありません。

結局1,200円カットの方にお客さんは
流れてしまいます。

そこで、仮に機材を買い揃えて、
3,000円カットもやっていることを
大々的に宣伝したとしても…。

QBハウスの
「1,200円カット」
「メニューはカット1つだけ」
などのイメージが崩れてしまい、
1,200円カットの売上まで下がってしまう
恐れがあります。

さんざんコストをかけた上に、
ブランドイメージまで傷つけてしまっては、
戦略としては大失敗です。


このように、トレードオフの選択をしない、
言い換えればあらゆる顧客のあらゆるニーズ
に応えることは、差別化戦略をする上で
絶対犯してはいけないタブーです。

QBハウスの成功は、トレードオフの選択を
繰り返した結果です。

「すべてのお客様のために」
なんて綺麗ごとは、QBハウスの掃除機で
吸い取ってしまいましょう。笑

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